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2008年 11月 21日
この映画について書くのを忘れていた。
「パンズ・ラビリンス」。 暗くてきれいで残酷でおとぎ話のようで怖い映画だ。 とても好きな映画だ。 ファシスト政権の時代のスペインが舞台だ。内戦の最前線に少女オフェリアの家族が移り住んで来る。オフェリアの母親が政府軍の指揮官である軍人と結婚したからだ。3人は森の中の大きな屋敷に住むことになるが、この屋敷は同時に政府軍のレジスタンス掃討の基地でもある。 オフェリアは森で、不思議な虫に導かれて奇怪な姿の妖精パンに出会う。パンは少女に「あなたは本当は魔法の王国の王女様です」と告げる。でも彼女が王国に戻るには3つの試練を乗り越えなければならない。 「パンズ・ラビリンス」は、「ミツバチのささやき」によく似ている。ともに少女が主人公で、少女は戦争の絶望的な影に覆われた現実の世界とは別の世界を発見し、2つの世界を行き来する。そこは少女の空想の世界のようだが、もしかすると実在する異世界なのかもしれない。 でも、この2本の映画には大きく違う点がある。少女の父親のキャラクターだ。「ミツバチのささやき」の父親は、もの静かで反戦的な学者だったが、「パンズ・ラビリンス」の少女の義父は、軍人で悪魔的なサディストだ。 義父は村人を殺し、レジスタンスを拷問し、妻と娘を血塗られた屋敷に幽閉する。この男が、捕虜にしたレジスタンスを拷問する前に、拷問道具をひとつひとつ几帳面に説明するシーンは怖い。オフェリアが迷い込んだ地下世界に棲む、目玉を手につけて追いかけてきて子どもを貪り食う怪物より、現実の世界のお義父さんの方が怖い。 オフェリアは妖精の世界に逃避しようとする。しかし、その世界も決して少女にやさしくはない。そこには異形の者たちがうごめき、不可解でときに恐ろしく醜くエロティックでもある。 「パンズ・ラビリンス」は圧倒的に映像的な作品だ。いくつもの暗喩的なモチーフが言葉ではなく映像で塗り重ねられている。映像を体験して、その感覚を味わうべきだ。 ときとして、映画は優しくない。見る者にも、作る者にも、そしてその中に生きる者にも。でも、それは不可思議で魅力的で美しいから、私たちは暗い森の中へ足を踏み入れて行こうと思うのだ。
by denkihanabi
| 2008-11-21 12:58
| 映画ネタ
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