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2008年 06月 03日
まあ、「ダイハード2」ってところか。
パート2というのは、一作目より盛り上げようとして、戦闘シーンが増えてしまう傾向がある。「ナルニア第2章」も完全にそのパターンで、第一作にはまだしもあった、妖精の世界に入っていく不思議な感じが全然なかった。 「今度は戦争だ」というのは「エイリアン2」のキャッチコピーだが、「ナルニア2」は幸か不幸か「エイリアン2」のようには面白くない。 学校にポスターが貼ってあったり、小学生にクリアファイルが配られたりと、ディズニー映画の子ども向け大宣伝戦略が行われていたようだが、これって小学校が推奨するような映画なのか? 人の死ぬ数だけで比べたら、「ノーカントリー」より死んでいる。R−15にならないのは、血が流れないからだ。切られようが刺されようが血が出ない。血が出ないから、残酷に見えない。残酷に見えないから子ども向け。なんか違う気がする。 たしかに、主人公は子どもだけど。 カスピアン王子は、テルマール人のあの城で生まれ育ったのに、あそこに誰も友だちはいないんだろうか?叔父に父を殺され、自分も殺されそうになったからといって、自分と一緒に暮らしていた人々を、簡単に敵として殺せるっていうのは、あんまりに鈍感で寂しい男だと思う。 ピーターは、ロンドンにいる時から喧嘩をしている。弟と妹は兄の姿勢に批判的なようで、結局争いに加担する。唯一、別の道を探しているように見える末の妹のルーシーは、アスラン=神=父の助けを呼んでいるだけだ。 妖精たちも王様のために戦いますって言うだけで、全然魅力がない。ネズミの騎士は面白いのに、やることといったらただただ殺すだけで、可愛いところがない。 だれも、妖精と人間が仲良くしようなんて言わない。憎悪は最初から、沸点を超えている。 すごく、好戦的で、野蛮で、ご都合主義な映画だ。子ども程度の発想と、子ども以下の想像力で、金のために大人が作った映画だ。 こんな好戦的で、戦争で怪我をしても誰も痛くないって感じるような映画を今どき作って子どもたちに見せようっていうのは、アメリカはまた次の戦争の準備をする気なのかって、私は思った。 童話は残酷なものだ。ご都合主義は、無意識の美。 それはたしかにそう。 でもそれと、この映画のできの悪さを一緒にはできない。 ファンタジーには、痛みが必要なのだと思う。 いや、痛みがファンタジーを生むという方が、本当なんだろう。 だがこの映画は、想像力も痛みも、麻痺している。 「ナルニア2」の子どもたちは、ただバトルフィールドに放り込まれ、自分たちは絶対大丈夫だと見る者には分かっている、不毛な戦争ゲームを繰り返すだけ。最後には神風が吹く。 「血も涙もない」という言葉がある。人を人とも思わない冷血漢、という意味で使われる。でも、この映画は違うニュアンスで「血も涙もない」映画だ。生と死のリアルも、他者に対する想像力もない、プラスティックな戦争映画。 この映画をファンタジーとは呼べない。 「ナルニア国第2章」よりも、「バトル・ロワイヤル」の「1」の方が、より優れたファンタジーなんじゃないか。同じ子どもが戦う映画でも、あそこには痛みがある。 それよりも、もっと単純に、冒頭のカスピアン王子が馬で走る草原のランドスケープに感心した。ヘリ撮なのだろうか、それとも何か他の機材なのだろうか、超低空の移動撮影で走る馬と美しい大地や遠景の山々を見せる。エンドロールを見ると、ニュージーランドやスロヴェニアなど、何ヶ国もでロケをしているようだった。 潤沢な予算と高い技術を惜しげもなく使って、志も低ければ、出来も悪い映画を作るなんて、犯罪なような気がするのだが。でもこれで興行的にヒットすれば、成功作ということになるのだろう。とりあえず、「3」は作るのをやめて、日本映画に投資するってのはどうだろう。「4」は作ってもいいから。
by denkihanabi
| 2008-06-03 01:22
| 映画ネタ
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