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2006年 05月 14日
冒頭からフルスロットルでスベりまくりながら突っ走り、そのうちターボがかかってきて強引に観客を巻き込んでいく。
正直、アタマの15分は過剰に陽気なベタなネタの連発で、このままじゃつらいな、と感じた。でもナチス鳩ネタで調子をつかみ、ゲイネタでいい感じになってきました。 それにしても、コテコテです。 なんかこの、一瞬たりともテンションを落とすと観客が逃げていってしまうという強迫観念にとらわれているかのような、すべてのシーンすべての笑いに過剰に全力投球する騒々しい感じは、なにかに似てると思ったら、あれだ、最近のディズニー・アニメだ。「ファインディング・ニモ」の毒々しいまでのCG発色とわずかの隙もないサービス過剰のストーリーテリングの騒々しい感じに、とても似ていた。 ブロードウェイとディズニーが似てるっていうのは、そりゃそうかもな、どっちもアメリカン・エンターテイメントの代表だもん。 私は、オールドスタイルのミュージカル映画ファンで、フレッド・アステアとかジーン・ケリーの映画が大好きだ。 そういう点では、この映画にはとてもオーソドックスなオールドスタイルの雰囲気があるシーンが多い。 会計士のレオの事務所のロッカーから次々とダンサーが現れて、書類棚の引き出しが階段に変身して、その上でレオと踊り子たちが踊るシーンとか。あの引き出し階段は素晴らしい。 その直後のレオとマックスがセントラルパークの池で水しぶきを上げて踊るシーンは「雨に歌えば」へのオマージュだろう。 意外なほど踊れているユマ・サーマンのウーラとレオが白く塗られた部屋で踊るシーンは、とてもロマンチック。特にウーラが机の上を滑る振り付けがすごくきれいだった。 レオのビョーキネタで軽く始まって、ドイツ人のネオナチ、ゲイの演出家チーム、でかくてきれいでおつむがパーのスウェーデン女、ばーさん軍団は色情狂、警官はアイリッシュでひどい訛りと連発してくる。 黒人ネタ、ユダヤ人ネタがなかったのが不思議だ。 ただ、ここで描かれる差別ネタは、すでに許容範囲のものなのかも、とも思う。ナチスをネタにする方が、黒人やアラブ人をネタにするより、アメリカでは安心して笑えるんじゃないかな。ドイツ人は嫌だろうけれど。 「春の日のヒットラー」は本当に面白い舞台なんじゃないかと思うな。あれはヒットするよ。ヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」をミュージカル化するとあんな感じか? そのエネルギッシュなサービス精神には圧倒される。 とにかく手抜きがない。小さなネタにも全力投球。レオとマックスが同時に部屋を出ようとして二人でドアの枠に挟まってしまうなんてお約束な小ネタのタイミングの良さには感心した。 ヒトラーを演じたゲイの演出家が、カーテンコールでノンケを装おうとして女優にキスしたら、口ひげが女優の鼻の下にくっつくっていう細かいオチも、きれいに決まってた。あれは舞台では最前列でしか見えないだろうから、映画的なギャグだ。 歩行器を使ったおばあさんのダンスシーンはすごいね。あれは舞台にもあったんだろうか。次々とドミノ倒しみたいにおばあさんが倒れていくシーンの、しつこいまでの長さと動きの完璧さにも、感心した。あれは大変だったろうな、撮るの。 でも、その陽気な神経症とでもいうような完璧な過剰さに、私はやや冷めてしまった。 一生懸命作り込んだ成果はすごいけど、一生懸命作り込みすぎててつらい。 映画って舞台に比べると、宿命的に体験としての温度が低いので、作る側も意識的に隙とか冷たさとかがあった方がいいのかも知れない。 なんていうのは、単に私の趣味の問題なんだろうけど。 アメリカ人は映画館でもにぎやからしいから、アメリカの映画館だったらこれでいいのかもしれない。私は空いている静かな日本の映画館で見たので、なんか空回りな感じがときどきした。 「かもめ食堂」の笑いは静かに見ててちょうどいいんだけど。 こういう舞台の映画版を見ると、必ず舞台版を見たくなるよね。 そうそう、エンドロールの最後までとことん作り込んであって、最後は拍手ものでした。
by denkihanabi
| 2006-05-14 15:03
| 映画ネタ
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