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2005年 04月 03日
日本の14才の地獄を描いた、2001年の岩井俊二の力作。
傑作とは言えないかもしれないが、すばらしい力作だ。 公開のとき劇場で見た。 それ以来見ていないので、今回の文章は記憶に頼っている。 映画を見て家に帰ると5才の娘が幼稚園の遠足から帰ってきていた。 遠足楽しかった?と聞くと、楽しかったー!と言って2、3回飛び跳ねた。 私は思わず涙が出そうになってしまった。 こういう素直に幸せな時期というのは、人生の中では短い奇跡的な期間なのだ。やがては失われるのだ、恐らく、中学生以降の自我に目覚めたあとの時代の方が本来の人間の人生なのだろう。 幼年期は奇跡だ。 この映画をクールな印象にしているのは、次々とタイトルで画面センターに入ってくるネットのBBSを飛び交うコトバたちだ しかもこのタイトルは表示される前に、カタカタというパソコンのキーをたたく音とともに、いったん文字化けして現れ、それから日本語に変換されるのだ。このデザインアイディアは岩井俊二自身のものだったのかは分からないが、すばらしくカッコイイ。 文字化けはカッコイイというのは、大発見だ。 岩井俊二は、映像のスタイルを観客に押し付けるタイプの作家ではないが、どんな題材に対してもある種のクールさを保っていて、それが彼の映画の見やすさになっていると思う。 だがこの映画の抱えているカオスは、そのクールさを持っても中和しきれないような、毒々しいものを孕んでいる。 主人公のクラスは、いじめ、恐喝、売春、レイプ、自殺、殺人、なんでもありだ。これは正直やりすぎだな、とも思う。野島伸司のドラマみたいじゃないか。 ここまで盛り込んでしまうと、週刊誌的で、通俗的な印象を与えてしまいかねない。 でも、もう、やっちまえ全部って思ったのだろう。抑制することをやめたのだ。 この映画が作られた頃は、酒鬼薔薇の事件以降、少年の犯罪が続き、いじめの問題もマスコミの話題になっていた。 映画というのは、大抵の場合、公開の3年以上前から企画がスタートしている。シナリオの段階から、岩井俊二はその時代の日本の社会の、言語化されない空気のようなものに、共鳴していたのだろう。 彼が自分で言うように、記憶の作家であるならば、岩井俊二の中の14才と、2000年頃の14才が、共鳴していたのだと思う。 結果として、噴き出すものは噴き出すままに、コントロールできないものは制御不能なままに提示する、そういう映画になっている。 毒を中和し、混乱を整理する気はない。 子供たちのメランコリィワンダーランド。 出口はない。 そんな映画。 中学生は楽じゃない。 思春期は美しくない。 汚いし、臭いし、無防備で、無力で、破滅的で、空回りばかりしている。 でも、自分が無力だとか汚いとか強く思うのは、はじめてそのことに気がついたからだ。それまでは、そんなことを意識化言語化することがなかっただけだ。 私は、子供の出産に立ち会ったことがあるが、生まれたばかりの赤ん坊は、無力で汚い。 あれが多分、命の本質で、中学生の頃というのは、その匂いが自分にもあると気がついてしまう時期なんだろう。 無力で、破滅的で、空回りしている人間は、暴力でバランスをとろうとする。それは、想像がつくことだ。 でもね、無力で汚いのは一生そのままだから。 生きて行くには、鈍くなるか、楽しむかしかない。 楽しむヒントは、幼年期にあるのだろう。 やっぱりもう一度見てから、レビューを書き直そう。どうも、話が映画から離れてしまった。 そういえば、もうすぐ入学式ですね。 この映画のサントラはいい。 ところで、なぜ「リリイ・シュシュのすべて」なんてタイトルなんだろう?
by denkihanabi
| 2005-04-03 22:59
| 映画ネタ
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