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2009年 12月 04日
なんだか恥ずかしい感じの、微妙な映画なのである。
是枝監督は私と同じ年のおじさんのはずなのだが、こんな映画撮っちゃうんだ。 ダッチワイフが心を持って人を愛するようになる、というどこか手塚治虫的な青臭いアイディアが、まずなんだか恥ずかしい。ダッチワイフを恋人にして寂しく一人暮らししている大阪弁の男が、またなんだか恥ずかしい。人間になった空気人形がバイトするのがレンタルビデオ屋で、彼女が好きになる男がそこの映画マニアの店員というのが、ますますなんだか恥ずかしい。 PFFとかで20代の自主映画作家が作った映画っていうんだったら、すげえうまいって感心するところだが、是枝裕和である。そうか、こういうのやりたかったのか。恥ずかしがらずにやってしまうっていうのは、表現者として大切なことなんだなあ、なんてかえって感心した。だいたい自己表現するなんて、恥ずかしいことなんだよな、もともと。 主演の韓国人の女優ペ・ドゥナの横顔が美しい。鼻が高くて。目が大きくて。肌がきれいで。それで、横顔のショットが多い。おっぱいもきれいだ。この映画では裸になるということは重要なことなのだが、女優さんにオーディションでおっぱい見せて下さいって言うのは相当勇気がいりそうなので、監督はこの人が他の映画で脱いでるのを見てキャスティングしたのかもしれない。オーディションで裸になって、おっぱいがイマイチなので今回は別の方で、なんて言われたら、女優さんプロとはいえトラウマになっちゃうだろうな。 空気人形は人形だが、女優は生身の人間だ。だから、カットによって疲れた顔をしてたりするのが妙に生々しかった。この世に生を受けたばかりの初々しい人形を演じているが、この女優は決して若くはない。映画はいつも、若くて美しい女を欲望する。考えてみると、女優というのは空気人形みたいなところがある。 ペ・ドゥナの片言の日本語は人形役にぴったりで、素晴らしいキャスティングだったと思う。ほぼ、彼女を撮るための映画だ。あの子に惚れた人にとっては、この映画は記憶に長く残る映画になるだろう。 〈このあとネタバレがあります。〉 おそらく原作は短編で、それを軸に脚本・監督の是枝裕和が、エピソードを足していったのだろう。点描的に描かれる、都会の孤独な生きにくそうな人たちは、ほとんど有機的に絡まない。からっぽなのは人間の方だ、という視線でカメラは人々を捉えている。カメラマンのリー・ピンピンは台湾人らしい。もしかすると、異邦人が東京を撮る目が不思議な儚さを生んでいるのかもしれない。 逆に、愛する男の息を吹き込まれた空気人形は、空っぽじゃなくなる。空気人形の頰が紅潮し、温度を感じさせる。美しいシーンだ。でも、空気人形は自分に吹き込まれた愛を、相手に返してあげることができない。 この話、誰かが死なないと終わらないよなあって、途中で思っていたら唐突にそういう展開になった。そうならないストーリーにする選択もあったようには思うのだが。 星野真里が演じる壊れた孤独な女の(あれ、星野真里だって気が付かなかった)「きれい」っていう声で、映画は終わる。「きれい」で、いいんだろうか?その言葉でいいんだろうか?宙ぶらりんな気分になる、声だった。
by denkihanabi
| 2009-12-04 14:03
| 映画ネタ
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