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2009年 09月 02日
娘を誘拐された元CIAの父親が、娘を捜してパリに乗り込み、犯人の人身売買組織の連中を片っ端から殺しまくるという話。
殺す殺す、もう気持ちいいくらい殺す、一体何人殺したんですかお父さん。こんなに殺しまくる主人公も今どき珍しいのではないだろうか。でも、愛する娘を助けるために悪者をやっつけてるんだから、パリ警察もお咎めなしなのだ。 セリフは英語だし、スティーヴン・セガール主演のハリウッドB級アクションのような映画だが、これはフランス映画である。 リュック・ベッソン製作・脚本。「TAXi」「トランスポーター」シリーズのベッソンの制作会社、ヨーロッパ・コープの作品だ。 リュック・ベッソンは、自分が監督する映画では「ニキータ」や「レオン」のようにアクションの中にもセンチメンタルなラブロマンス的要素を色濃く入れてくるのだが、製作・脚本で裏方に回っているときは、ものすごく割り切ってアクションに徹してくる。 私は「TAXi」の一本目がロクでもなかったので、その後リュック・ベッソンPresentsの映画はほとんど見ていないのだが、予告篇などで見るかぎり、低予算でカーチェイスとアクションを見せる映画を作り続けているようだ。 「96時間」は予告篇が面白かったので、つい見てしまったら、やっぱり同じ路線だった。「TAXi」より変なギャグがない分見やすかったが。 ところがこの映画、フランスでもアメリカでもヒットしたらしい。「TAXi」も「トランスポーター」もシリーズ化されて続いているところを見ると、ヨーロッパ・コープは着実に稼いでいるのだろう。ベッソンは、中味のない捻りもない荒っぽいだけのアクション映画は売れる、という確信の元に映画を作り続けているようだ。 そういう映画を大金かけてVFXを駆使してビッグビジネスにするのがジェリー・ブラッカイマーだが、フランス映画はそこまで金がないので、ベッソンはシンプルに、カーチェイスと格闘技と銃撃戦を詰め込んで来る。 こういう映画は、主に男性の社会への不満の捌け口になるので、不況に強いのだろう。「96時間」がアメリカでヒットしたのも、アメリカが大不況で、でもハリウッドは9.11以降ここまで非人道的でめちゃくちゃな映画が作れていないからかもしれない。 なにしろこの映画、ストーリーを要約してしまうと、「娘の純潔を守るために外国人を皆殺しにする男の話」という、古いというか危ないというかどうなのよっていう内容だ。 ベッソンのシナリオは、かなり酷い。アイディアは古くさいし、人物設定は薄っぺらいし、ストーリーは捻りがないし、サスペンスには工夫がない。でも、見せ場の連続で弛みもない。ノンストップアクションだ。 おそらく、ベッソンにとってはこのくらいの脚本を書くのは簡単なのだろう。ヨーロッパ・コープの作品リストを見ると、この人ものすごい数のシナリオを書いている。このエネルギーはすごい。 それを、アクションに切れ味のある若手の監督に撮らせる。 「96時間」の監督ピエール・モレルは、撮影監督出身らしいが、確かにアクションはうまい。例えば、相手の銃を奪って敵を倒すといったひとつひとつのアクションに工夫とキレがあって、鮮やかだ。カメラワークと編集も、最近のハリウッド映画同様めまぐるしくスリリングだ。アクションシーンだけに興味のある人には勉強になる映画かもしれない。 93分という手頃な長さもいい。B級アクションは長くてはいけない。 ベッソンは、今度パリにスタジオを建てるらしい。昔の日活のように、スタジオでB級活劇を量産するつもりなのだろうか?続けて見ていると馬鹿になりそうだが、でも、こういう低予算B級アクションを作り続けていると、鈴木清順の「殺しの烙印」みたいな怪作が突然フランスから生まれたりするのかもしれないな。
by denkihanabi
| 2009-09-02 20:52
| 映画ネタ
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