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2009年 05月 13日
これ最高!
こういうの大好き。 今年のアカデミー賞ウィナーだが、全然アカデミー賞っぽくない映画だ。普通なら単館ロードショーでカルト人気を呼ぶタイプの映画だ。 監督は「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。 オールインドロケ、出演者も全部インド人だが、イギリス映画である。なるほど、インドで「トレインスポッティング」するとこうなるのかという、イキのいい青春映画だ。 冒頭のカットバック。クイズショーのステージで多くの観客に囲まれた青年と、取調室で警察に拷問のような尋問を受ける同じ青年。 タイトルが入る。 「スラム出身の貧しい若者が、どうやって「クイズ$ミリオネア」で史上最高額にあと一問まで辿り着いたのか?A.インチキをした。B.ラッキーだった。C.天才だった。D.運命だった。」 その答えは彼の人生の中にある。 警察の尋問に青年ジャマールが答えはじめると、カメラはインドのスラム街を走りはじめる。 熱気を帯びたカオスのようなと言えば聞こえはいいが、醗酵したゴミ溜のようなムンバイのスラム。映画は荒々しいカメラワークと編集で、ジャマールの生い立ちを擦り傷ができそうなほどの疾走感で追いかける。 ムンバイのスラムは、過酷だ。ゴミ溜のようなと言うのは実は間違いで、ゴミ溜そのものだ。言っちゃ悪いが派遣村どころの騒ぎではない。東京のホームレス生活は、ムンバイじゃ天国だ。 子どもたちは警察に追われ、イスラム教徒を襲撃するヒンズー教過激派に母親を殺され、人買いにさらわれ、物乞いをし盗みを働きながら生きている。 あの子たちこそ、タフガイだ。あそこに生まれて生きろと言われても、しんどいぞ。 貧乏人と金持ち。愛と暴力。子どもと大人。どん底と頂点。明快な対立が、異国の熱気の中で炸裂する。でも物語はブラジルのスラムの少年たちを描いた「シティ・オブ・エンジェル」のように陰惨な印象にはならない。それは物語の軸に、ピュアな愛があるからだ。 ジャマールとラティカの純愛が、この映画の軸だ。 ピュアな変わることのない、愛。 それは映画の噓だ。 でもその愛すべき噓が、この映画を美しいいい映画にしている。ジャマールと一緒にラティカに恋をすれば、スラムのゴミも花びらに見える。 それに、美しい噓には、現実を少しだけ美しくする力がある。 登場人物のキャラクターには深みも揺らぎもない。戦う男は戦い、恋する男は恋し、待つ女は待つ。 インドの過酷な社会状況も、貧富の差を娯楽にするテレビというメディアも、ここでは愛のおとぎ話の刺激的な背景にすぎない。甘い映画だと言う人もいるだろう。 でも古い物語は強い。魅力的だ。 インドのスラムで実際にロケをすること。手持ちカメラとイキのいい編集でシーンを切り取っていくこと。クイズショーというドラマチックな舞台に物語を乗せること。時制をバラバラにしてエピソードの印象を強めること。 監督のダニー・ボイルとスタッフは、冒険的なアプローチと考え抜いたアイディアで古い物語を新しい傑作に仕上げた。 感動した。 あえて詳しく書かないが、エンドロールでは涙が出た。見てのお楽しみ。 「汚れた血」「ラン・ローラ・ラン」「リトルロマンス」「マンハッタン」(だって走るじゃないか!)「マインドゲーム」「恋する惑星」それに「スラムドッグ$ミリオネア」。みんなお薦めです。 「未知との遭遇」も実はこのジャンルだ。いや、ホント。
by denkihanabi
| 2009-05-13 11:05
| 映画ネタ
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