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2008年 12月 31日
JCVDことジャン・クロード・ヴァン・ダムは、90年代のハリウッドのアクションスターだ。ただし、B級アクション映画の、という但し書きがつく。A級とB級の境い目は難しいのだが、ハリウッドの場合はおおむね製作費とギャラで判断してしまっていいだろう。
アーノルド・シュワルツネッガーとシルベスター・スタローンとブルース・ウィリスはA級アクションスター。スティーヴン・セガールやチャック・ノリスやジャン・クロード・ヴァン・ダムはB級だ。 そうするとシュワルツネッガーが出ていても「ターミネーター」はB級。「ターミネーター2」はA級ということになる。あくまでも、金を基準にした話だ。面白さとは関係ない。 ヴァン・ダムが主演の「ユニバーサル・ソルジャー」はB級アクション映画だが、同じローランド・エメリッヒ監督のA級大作「インディペンス・デイ」の100倍とは言わないまでも25倍くらい面白い。そういうことは多い。ちなみにエメリッヒは大作をいっぱい撮っているが、誰も彼をA級の監督とは呼ばない。最低の監督だからだが、ハリウッド的にはビッグスター出演の映画を撮ったことがないからかもしれない。 「B級」のアクションスター、ジャン・クロード・ヴァン・ダムには「かつての」という枕詞もついてしまう。たしかに2000年以降の出演作は、寂しい。 「その男ヴァン・ダム」は、そんなJCVDの初のB級アートフィルムだ。 面白い。でも、惜しい映画だ。 離婚訴訟中の落ち目のハリウッドスターが、故郷のベルギーに帰ってきたら事件に巻き込まれて郵便局強盗の犯人になってしまう。 それをスター本人が演じる。 予告篇を見て、これは面白くないはずがないなと思った。予想通り面白い映画だった。でも、もっと笑わせてくれたらよかったのに。そしたら傑作になったのに惜しい。 低予算クライムムービーで名を馳せた、クエンティン・タランティーノの「レザボア・ドッグス」やガイ・リッチーの「ロック、ストック&ツー・スモーキング・バレルズ」に比べると、何かが足りない。 足りないのはなんだろうって考えてみた。たぶん、不謹慎な笑いが足りないんだ。特に後半、シリアスになっちまうのがよくない。人が死のうが血が流れようが、笑えるシーンにしてしまう不謹慎さがこの映画には足りない。 そういう感覚は現実ではよくないことだが、映画では面白さの大切な要素だ。普通に社会生活を送れている人を安心させるような感覚では、映画は面白くならない。 でも一方でその誠実さの美点も見せている。 それは、ジャン・クロード・ヴァン・ダムに対するリスペクトだ。落ち目のスターの自虐ネタを連発できるこの映画で、メクリ監督は突っ込みを最低限に押さえてヴァン・ダムがハリウッドでは見せなかった内面的演技を引き出そうとする。 実はこの映画の設定は、ウディ・アレン的でもある。離婚訴訟。落ち目のスター。主演が自身を演じる。ウディ・アレンだったら当然しゃべりまくる。でもヴァン・ダムは肉体派、しゃべりの人ではない。だからこそその男がカメラに向かって語りはじめると、絶妙な存在感が生まれる。 マブルク・エル・メクリは、ヴァン・ダムに対しても映画に対しても、リスペクトを持って向かい合っている。そのよさが十分に感じられる。 だからこそ惜しいなって思うのだ。誠実さと不謹慎さが同居したときに、傑作が生まれるのかもしれない。 「その男ヴァン・ダム」は、アイディアはいいし、映画としてきちんと作られているし、ワイルドなテイストもあるし、主演俳優はこれ以上ない素晴らしいキャスティングの、かなり面白い映画なのだが。 タランティーノの不謹慎さが足りなかった。あるいはJLGことジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」のような不遜さが。 ところで私はこの映画がオマージュを捧げているらしい「狼たちの午後」を見ていない。とんでもないB級の映画ファンだ。反省して誠実に年明けにツタヤで借りてこようと思う。
by denkihanabi
| 2008-12-31 01:50
| 映画ネタ
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