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2006年 12月 18日
この女には惚れました。ベラドンナ、じゃなくてジャンヌだ。
なんていい女なんだ。 手塚治虫の虫プロの、1973年の劇場用長篇アニメです。 もっとも手塚治虫自身はスタッフにクレジットされていません。 虫プロのアニメというと「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」なわけですが、これは全然違います。 セックスと死の一大絵巻、とでもいうような大人向けの、それもかなり観客を選ぶ作品です。よくこんなものを長篇商業映画として公開したものだ。 大コケしたらしいです。当然でしょう。完全にカルトです。 すごい映画です。 これが、なんにも海外でも賞を取ってないのは不思議だ。 映像的にあまりにもスタイルが強く、その美しさに溺れられない観客はみな浅瀬に置いてきぼりにされてしまうという点で、これは「ブレードランナー」みたいな映画です。 でも、惚れたら一生傷が残る。 そんな映画。 いや、これ、映画なのか? ジャンヌを描いたのは、深井国という画家らしい。映画史上最強クラスの艶っぽいねえちゃんです。 あの絵で、ほぼ私はこの映画OKです。 絵のタッチは全然違いますが、クリムトの絵が動いたような映画だなと思いました。 アニメの技法的にも、金箔をセルに貼って撮影するなんてことをやっていたそうなので、クリムトを意識したところもあったんだと思います。動かない、静止画を多用したスタイルはアニメーション=動画からは、それだけでも異端です。しかしその止まった絵がカッコいい。 監督の山本暎一という人は知りませんでしたが、かなりいっちゃってます。狂気と執念を感じます。なにしろCGもデジタル合成もなんにもない時代の、全部手描きの映画なんだから。アニメーターが過労と寝不足で何人か入院していても私は驚きませんね。死んだ人がいてもね。 愛ゆえに魔女になった女の物語です。 面白いのは、このアニメを作っているのも描いているのも、みんな男だってところです。 悪魔に身も心も捧げてしまった女は、男たちの理想の女なんだ。 神より悪魔の方が楽しそうですよね。 立派なこと言ってるボノより、セックスとドラッグでじいさんになったミック・ジャガーの方が、私はうらやましい。 この映画のラストはよくありません。主題のすり替えが行われている。 映画ではよくそういうことが起きる。 表現や心情がインモラルでも、テーマは社会的にOKなモラルにすり寄った振りをするのです。 そういう意味では今見ても「ローズマリーの赤ちゃん」はすごいですね。あれはキリスト教圏の国の人が撮ってるのに、あっち側にいってしまっています。ポランスキーさすがだ。 「哀しみのベラドンナ」はキリスト教圏ではない国の映画なんですが、最後はフェミニズムに逃げています。 でも、この映画を貫いているのは、フェミニズムなんかではなく、サディズムだ。 あるいは、とことんマゾな人が見たら逆の感想も聞けるかもしれませんが。 私は、ムード歌謡(by小林亜星)がかかるSMラブストーリーということで、「KILL BILL 」に似てるって思いました。愛ゆえに魔女になる女、というロマンチックでエロチックな主題も似ている。 タランティーノは、絶対これ好きだな。 セックスが悪いこと怖いことだった時代のエロい映画って、そそります。 「キャンディ」と2本立てで見たいですね。 まあしかし、なにより絵ですよ。 いつもより多めに画像を貼付けておくので、この絵に感じた人はぜひ見てください。ポレポレ東中野という変な名前の映画館で1月5日までやっています。DVDも出てるみたいです。
by denkihanabi
| 2006-12-18 00:58
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