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2006年 09月 08日
私はスーパーマンの顔が嫌いだ。
整いすぎていて、歪みや陰りがない。清く正しく無個性で、ディズニーランドのようにきれいに掃除された顔だ。 言ってみれば、アメリカの偽善が高度に記号化された顔だ。 1979年のリチャード・ドナー版「スーパーマン」を演じたクリストファー・リーブが、あまりにもコミックのスーパーマンそっくりなのには驚いたが、今度の「リターンズ」のスーパーマン、ブランドン・ラウスもまた見事にスーパーマン顔である。 いや、今回はさらにつるんとしていて、CGでレタッチしたんじゃないかと思うシーンもいくつかあった。 墜落する飛行機を満員のベースボールスタジアムに軟着陸させて、大観衆の喝采を浴びるスーパーマンというシーンは、妙に長く感じたのだが、アメリカの映画館では劇場の観客も一緒に大喝采を送るところなのだろう。 スーパーマンは、飛行機の墜落のような大事件から、コンビニ強盗みたいな小事件まであらゆるところに現れる。バグダッドには行かなかったようだが。 でも、スーパーマンに限らないが、こういうヒーローの正義というのは、対症療法みたいなものなのできりがない。症状がでたら、とりあえずそれを押さえる。ピンポイントの痛み止め薬みたいなものだ。 ものすごく強力だが。 ロイス・レインがピュリッツァー賞を受賞したという「なぜスーパーマンは必要でないのか?」という記事を読んでみたいな。 ロイス・レインが、ピュリッツァー賞受賞記者にして、4才の男の子の母親、にしては異常に若いのはご愛嬌か。かわいい子だなと思ったら「ブルークラッシュ」のサーファー娘だったらしい。 ケイト・ボスワースは23才、それは計算合わん、全然計算合わないぞ。スーパーマン、また時計を逆回転させたか? この映画は「リターンズ」で、正しく続篇なので、テーマ曲は「スーパーマンのテーマ」なのだ。この曲がまったく古さを感じさせないのはすごいなあ。ジョン・ウィリアムズのメロディメーカーとしての力量もすごいけれど、やっぱり音楽や映画の世界では、時代は新しくなることをやめてしまっているんじゃないか? コンピューターの技術だけは、どんどん進歩していくんだけど。 このスーパーマンはCG使い過ぎな感があった。成層圏に舞い上がったときのスーパーマンはCGだったんじゃないだろうか?少なくともボディとマントはCGの質感のように見えた。ワイヤーワークで吊り上げるよりも、モーションキャプチャーでCGスーパーマン作って顔をマッピングした方が簡単そうだ。もともと人工的な顔だし。 (このあと、ネタバレがあります。) この映画では恋愛と家族の物語が、アクションの添え物ではなくむしろ軸になっている。これはハリウッド大作ではなかなかうまくいかない手口なのだが、「スーパーマン・リターンズ」ではめずらしく成功している。 スーパーマンとロイス・レインのスーパー不倫は、お約束の空中デートよりも寸止めのキスが美しい。いや、あれは正確には不倫じゃないのか。ロイス・レインは子どももパートナーもいるけど、結婚していないっていう設定だった。 スーパーマンが、スーパーストーカーになるのもせつない感じだった。ロイス・レインがエレベーターで去っていくのを、透視能力で未練がましく追うカットは好きだ。ロイスと旦那と息子の愛の巣を覗きにいってしまったりするしね。スーパーマン、それは犯罪だ。っていうか、それじゃブライアン・デパルマだ。 何度か使われる透視能力の映像はとてもよかった。手前の壁がすっと透き通って、同じパースペクティブで奥の構造物が見えてくる。そこに人物もいる。その間カメラは自然な視線のように動いている。簡単なカットではない。 そんなスーパー片想いの物語が、後半親子の物語に変化していく。ああ、そうくるのか、と思った。物語はオープニングと韻を踏んで終結する。うまくできている。 続篇にもしっかりつなげているしね。 監督はブライアン・シンガー。 「ユージュアル・サスペクツ」の、ブライアン・シンガーってつい言いたくなってしまう。あれは傑作だ。 相当頭のいい人なんだろうというイメージがある。構成に無駄がない。映像と爆発だけで引っ張っていくMTV出身の監督とはひと味違う。 「スーパーマン・リターンズ」も153分と、娯楽作品としては長過ぎる映画なのだが、中だるみがない。きっと監督は、子どものときに「スーパーマン」を見てるはずだ。好きだったんだろう。その愛情が、映画の長さに出ているように思う。 ブライアン・シンガーは、そのクレバーさで、「X-MEN」「X-MEN2」「スーパーマン・リターンズ」と、ハリウッドのど真ん中に君臨する監督の一人になった。 「スーパーマン・リターンズ」はよくできた映画だ。家族で夏休みに見に行ける内容だし、娯楽作品としても完成度が高い。 でも「ユージュアル・サスペクツ」が好きな私としては、こんな整ったつるんとした清潔な映画より、冷たい毒のある作品をこの人には撮って欲しいなと思う。
by denkihanabi
| 2006-09-08 00:18
| 映画ネタ
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