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2006年 07月 04日
<中田英寿>現役引退を表明 “新たな自分”探しの旅にと
ロックバンドの解散コンサートみたいな声明を残して中田が引退した。引退声明を出してあとで撤回するスポーツ選手も多いが、中田が「プロサッカーをやめる」と発言した以上は、もう絶対プロのピッチにはもどらないだろう。 この人はよく「旅が好きだ」と自分のサイトに書いていて、引退声明にも「旅」という言葉を多用している。でも中田の言う「旅」とは、リラックスしたりリフレッシュしたり、あるいは好奇心を満たすという程度のものではなくて、「自分の可能性と限界を知るために動き続ける」という意味の言葉なんだと思う。 スローライフなんて言葉とは対極にある生き方だね。 中田は、中村や小野、ロナウジーニョやジダンのような形でのサッカー選手としての才能には恵まれていなかった。でも本人も言う通りすごい「負けず嫌い」なので、じゃあ自分はどうすれば勝てるのか、ということを突き詰めて行った。 その結果、日本を代表する世界的なサッカー選手になった。 でも、ペルージャ時代を除いてヨーロッパでの戦いは見ていても苦しいものだった。ヨーロッパには中田以上に才能のある選手が世界中から集まっているし、精神的にも中田並に強い選手がいっぱいいる。 中田は、たぶんフィオレンティナからボルトンに移ったあたりで、自分のサッカー選手としての可能性と限界を見切ったんじゃないかな。 パルマにいたとき、FWにブラジルのアドリアーノがいた。パルマはアドリアーノとムトゥというツートップが得点源で、ボールは中田の上を通り越してDFからFWに渡った。 当時中田はホームページで、個人技で点を取りに行くアドリアーノを批判していた。もっと回りを見てゲームをしろ、というわけだ。でもサッカーは点を多く取ったほうが勝つスポーツなんだからこれはヒデの言ってることのほうが無理があるよなって私は思っていた。パルマの監督もそう思っていただろう。 でも、中田の視点は揺るがない。正しいかどうかではなく、これで勝つと決めたら限界までこれでいく、という頑固な強さが文章から感じられた。 折り合いを付ける、ということを拒絶する姿勢がある人だと思う。 その強さが、根回し社会の日本では特異で、その特異なキャラクターのおかげで日本サッカーは躍進した。ヒデがいるのといないのでは、日本サッカーは全然違っただろうし、日本サッカーが違ったらこの10年の日本の社会も違ったかもしれない。 だって、不況不況と言われて自殺率が年々上がって親が子どもを子どもが親を殺す時代に、テレビ新聞で明るいニュースといったら、ほらサッカーのことばっかりじゃん。あとイチローと荒川静香ね。 サッカー日本代表は、がんばれば強くなれるというとても健全な気持ちに、私たちをしてくれる。オシムの言う通り日本はサッカーでは発展途上国、前向きなのだ。 みんな中田英寿には感謝しなくてはいけない。私はすごく感謝してるしリスペクトしている。 中田のいない日本代表を心配しても仕方ない。いや、ハートを失うようなもんだからとても心配なんだけど、どうせ新しいチームになるのだ。これから考えよう。オシムは困っているかもしれないが。 それよりこれからヒデが何をするのか興味があるな。たぶん1年くらいしたらどっかに名前が出るんじゃないか。今日の新聞みたいに1面じゃなくて、小さい記事で。 なんかね、この人アートビジネスをやるんじゃないかという気がするんだけど。映画とか音楽とか、得意のインテリアとか。自分がアーティストになるよりもアートをプロデュースする会社を作りそうな気がする。 どうでしょう。
by denkihanabi
| 2006-07-04 13:50
| サッカーネタ
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