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2006年 02月 23日
1980年のウディ・アレンの映画。
ウディは当時45才で、「アニー・ホール」でアカデミー賞を取り、才人の名を欲しいままにしていた頃だ。日本のCMで「おいしい生活」とかやってた頃。 いつものように脚本/監督/主演で、彼の役柄が「天才喜劇監督」。よくもまあ、自分でそんな役を演じられるものだ。劇中、ウディが演じる監督のサンディがイベントの質疑応答で「あなたはナルシスト言われてますが」とか質問されて答える。「それは違うな、ギリシャ神話にたとえるなら僕はナルキッソスじゃないよ・・・ゼウスだ」。気の利いた答えだが、自嘲も混じりながら本気で思うこともあるんだろうな、とも感じるセリフだった。 明らかにフェリーニの「81/2」を意識している。意識しているなんてもんじゃない、こういうのはなんというのだろう、“オマージュ”では物足りない、でも“リメイク”とか“盗作”でもない、“多大なリスペクトを込めたウディ流焼き直し”だ。ウディはジャズ・フリークだから、スタンダードを演奏し直すのは自然なことなのかもしれない。 この映画の前年にボブ・フォッシーが、やはり「81/2」のブロードウェイ版のような「オール・ザット・ジャズ」でカンヌのパルム・ドールを受賞しているのだが、偶然なのか意識的なのか?自意識過剰なウデイ・アレンなら、意識的に同じ手口で自分バージョンをぶつけてきたと考えてもおかしくない。ウディ・アレンとボブ・フォッシーは畑は違うが、当時ニューヨークを代表する天才アーティスト同士だったはずだから。 製作期間が重なっていたかもしれないから、本当のところは分からないが。 フェリーニの描く祝祭的混沌、とでもいうようなものは相当魅力的らしく、いろんな映画作家が模倣している。でもあんまりうまくいかない。村上龍も「トパーズ」の結末をフェリーニ的にしていた(笑)。あの映画意外と面白かったんだが、あのラストはどうかなあ。「キャンディ」もこの手で来ていたな。この手の模倣、あるいはオマージュで本家並みに感動的だったのは、エミール・クストリッツァの「アンダーグラウンド」くらいだ。あれは美しかった。 ウディの「スターダスト・メモリー」でも、謎の「UFOと気球の野外パーティー」という祝祭が用意されている。ウディはさすがにかなり面白い。特に宇宙人がいい。(あれは当時飛ぶ鳥を落とす勢いのユダヤ系監督、スピルバーグへの皮肉か?)ちなみに「オール・ザット・ジャズ」はクライマックスに、ヨーロッパ的混沌ではなく明解なブロードウェイ・ミュージカルを用意して、逆に成功している。 これを機会に本家を見直すといいかもしれない。 理想の美女が、シャーロット・ランプリングというキャスティングは意外だった。いつものお相手となんか違う。でもまとまる相手のマリー・クリスティーヌ・バローもフランス人だし、ウディのヨーロッパ趣味が色濃く出ているのかも。そこに、ジェシカ・ハーパー!「ファントム・オブ・パラダイス」「サスペリア」のジェシカ・ハーパーが絡むのが、またまた意外。この人、英語の分からない私が見ても大根なので、なんか見ていて心配でした。いや、好きなんですよ、この人。「ファントム」と「サスペリア」は大好きだからね。 いたずらに難解にして鼻につくところもあるのだが、この映画やはり面白い。空回りしても、やっぱり天才は他にはないものを作る。 オープニングの汽車のシーンで、これはやるな、と思う。あの汽車のシーンは短編映画として独立してみても、傑作だ。 85分という短い映画だが、見た印象はさらに短くて30分くらいで見終わってしまったような感じだ。それだけ語りがうまい。これだけ自分のことしか話してなくて、でも関係ない他人を話に引き込めるというのは、やはり才能だ。
by denkihanabi
| 2006-02-23 01:23
| 映画ネタ
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