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2005年 03月 18日
原題は「LOST AND DELIRIOUS」、直訳すると「道に迷い、錯乱して」という意味か。日本語タイトルの文部省唱歌のような響きとはかなり違う。
カナダの森の中の全寮制の女子校が舞台だ。転校してきたメアリーが暮らすことになった寄宿舎の部屋には、2人の少女が住んでいた。美しく明るい少女トリーと、エキセントリックな不良少女ポーリー。メアリーは3人部屋で暮らすうち、トリーとポーリーが深く愛しあっていることを知る。 「17才のカルテ」に似ている。 違うのは「翼をください」は、はっきりと恋愛映画である点だ。この映画を紹介してくれたmanamizwさんの言葉を借りれば「直球の恋愛映画」だ。 トリーとポーリーの関係ははじめ、メアリーしか気付いていなかった。 しかしある朝、2人で裸でベッドにいるところをトリーの妹たちに見られてしまう。 その日から、トリーはポーリーを避けるようになる。優等生の彼女は、自分が女の子を愛しているのを両親に知られることを怖れたのだ。彼女はおそらくレズビアンではなかったのだろう。自分が“正常”であることを証明しようとするように、近くの男子校のフットボール選手とつきあいはじめる。 孤独で気性の激しいポーリーは、急激に壊れていく。 幸せだった時期があって、けれどフラれて、それでも片思いをやめられない、という状況は壮絶につらそうだ。しかも、愛する相手は毎晩隣に寝ているのだ。 トリーの愛で満ち足りていた頃、ポーリーは輝いていて寄宿舎の食堂でも仲間たちの中心にいた。彼女のエキセントリックな言動は、みんなを魅了していた。 ところが、トリーの愛を失ったと感じたとたん、食堂で彼女は孤立し、その言動は奇異の目で見られ、瞳には光が無くなる。 「夏が真冬になるように」ポーリーは変わってしまう。 この落差の描き方はうまい。 この映画、原作も脚本も監督も女性で、舞台は女の園だ。 やはり女性の視点というのは違う。切実な片思い映画は好きなのだが、私は何かズレを感じていた。男が撮った片思い映画とは行動の原動力が違うように思う。 ポーリーは手に入れていたはずの幸せな関係を失い、その関係を取り戻そうと苦悩する。 関係というモチーフが、意識的か無意識的か、さまざまな形で現れる。 ポーリーとトリーの関係、3人の友達という微妙な関係、少女たちと親たちの関係(それも実の母やら継母やらこんがらがっている)、それに学校の同級生たちの視線や噂が綾なす社会学的関係。 「彼女なしでは豚小屋同然のこの世に、私は一人生きなくてはならないの?」 ポーリーの行動はストレートだが、それは欲望の対象があってそこに向かって突っ走るというものではなく、自分に絡み付くいくつもの関係性を切り裂いて突き抜けようしているように見える。でも、その先で彼女が求めているのは、かつての恋人との関係だという切なさ。 ポーリーが欲しかったのは翼なのだろうか?鋭いくちばしや爪ではなかったのか? だが、彼女が手に入れたはずの猛禽の強さは、結局彼女自身を傷つけてしまう。 彼女が関係性の森から自由に飛び立つには、ああするしかなかった。 正直、女の園には住みたくない。 男に生まれてよかった。
by denkihanabi
| 2005-03-18 01:49
| 映画ネタ
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