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2005年 01月 08日
1937年の映画。監督はエルンスト・ルビッチ、主演はマレーネ・ディートリッヒ。
これまでに見たすべての映画の中で、最もカッコいい映画のひとつです。 とにかく、巧い。 シャープで繊細で甘美。 この映画の真似はできても、この演出をオリジナルで生み出すことは他の誰にもできないのではないかと思わせる。 エルンスト・ルビッチの「見せない」技がすごい。 パリの公園のベンチに、エンジェルとアンソニーがいる。このまま別れて帰るのか、それとも一夜を共にすることになるのか。そこに花売りの女が来る。花を買いにベンチを離れるアンソニー。彼がベンチに戻る時、当然エンジェルは消えているだろう。展開は分かっている。ところがこの映画は、誰もいないベンチに戻って驚く男、というカットを見せないのだ。 では、どうやるのかと言うと、アンソニーの後ろ姿が花売りに近づき花を買う、アンソニーは手前にフレームアウト、そこから画面には花売の女しか映らなくなる。 エンジェルを呼ぶ男の声が聞こえる、花売りの女の視線の動きで男がエンジェルを追っていなくなったのが分かる、去った男を目で追った後、花売の女はベンチに歩み寄り、ベンチの下に捨てられているさっき男が買ったばかりの花を拾い、ホコリをはらい、腕にかけたカゴに戻す。そしてフェード・アウト。 これを鮮やか!と言わずになんと言うのか!こんなに見事に消えた女を私は知らない。 でも、このシーンはまだまだ手始めなのだ。 アンソニーがパーカーの家でパーカーの妻の写真を見て、パリで会った天使が親友の妻だと知るシーン、に写真を見るカットはない。 マリア=エンジェルとアンソニーとパーカーの3人の緊張感のある食事のシーンには、食堂にいる3人のカットがない!が、他の部屋にいる執事たちのやりとりですべて分かるように描かれる。 そしてなにより見事な、アンソニーのピアノの曲をパーカーが聴いてしまうシーン。 すべて、肝心の場面を見せないことで、各シーンに余韻を残す。 ラストも後ろ姿で終りと来ている。 鮮やかだ。 そしてもちろん、マレーネ・ディートリッヒがすごい。 オーラが出ている。 このマリアという、とんでもない恋愛体質の嘘つき女。 素晴らしい。 この映画、ラブロマンスなのだが、一見ロマンチックなハッピーエンドにはとんでもないオチが隠されている。 正に、亡国の美女だ。 隅々まで見事すぎて、とても一気には語れないな。 また見よう。 ちなみに、ディートリッヒ自身はこの映画を「凡作」と切り捨てていたらしい。大女優恐るべし、だ。
by denkihanabi
| 2005-01-08 03:58
| 映画ネタ
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