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2009年 11月 24日
ジョディ・フォスターは映画に緊張感を与える女優だ。冷徹な目、鋭角的な鼻、強固な意志を感じさせる顎。その一方で色白で小柄で笑顔はチャーミングだ。強さと脆さ、男性的な面と女性的な面を、視覚的に分かりやすく兼ね備えている。ジョディ・フォスターにはサスペンスが似合う。「タクシードライバー」「羊たちの沈黙」「パニックルーム」。逆にキャメロン・ディアスみたいに脱力系コメディには向かない。出てきただけで観客が力を抜けないからだ。この「ブレイブ ワン」も、強くて弱くて知的で不安定な戦う女性ジョディありきの映画だ。
「コンタクト」を見たときに感心したのだが、ジョディ・フォスターの微妙な表情の演技というのは、SF超大作のVFX以上にマジカルだ。この人は、表情を作る顔の筋肉の動きをすみずみまで熟知して、正確に効果的にコントロールできるんじゃないかと思わせる。それも、さりげなく。そんなことができる俳優はそういないだろう。 「ブレイブ ワン」はとてもよくできた映画だが、実はストーリーは凡庸だ。NYで突然の暴力に恋人の命を奪われた女が、拳銃を手に入れて社会の悪を倒していく。脚本はうまく書けていると思うが、発想がB級だ。この手の話はチャールズ・ブロンソンの昔からよくあるのだ。 この作品を面白くしているのは、ジョディ・フォスターの演技のディテールの力だ。監督のニール・ジョーダンは的確に、主人公の表情や仕草や行動を捕らえて見せる。 主人公が女だというのがポイントなわけだから、復讐者となった女に説得力がなければ映画は面白くならない。基本はサスペンスアクションなので、展開が遅くなってはいけないのだが、特に前半テンポをぎりぎりのところまで抑制して、暴力を受けた主人公が家から外に出られなくなってしまうというようなシーンを丁寧に重ねておくことで、殺人者になってからの彼女から観客の心が離れないようにしている。 また、主人公がFMのDJだという設定がうまい。これによって、彼女は心情をやや文学的に話すことができるようになり、またそのときの“すべてを語っているわけではない”人間の表情を見せることができる。 暴漢を射殺した後、トイレで顔を洗い口紅を塗ると表情が落ち着いてくる、というシーンなどは男が頭で考えてもなかなかうまく描けるシーンではないと思う。 そして、殺人者エリカ・ベインとマーサー刑事の間の緊張感が次第に高まっていく様を、シーンを追って表情や仕草の変化で繊細に表現していく。会社で会うシーン、カフェのシーン、病院のシーン、バーのシーン、それぞれ表情が違う。見事だ。 ジョディ・フォスターはプロデューサーも兼ねている。彼女はスタッフィングの目も確かだということだろう。サラ・マクラクランの歌も、この映画のエンディングにふさわしい。完成度の割に話題にならなすぎた映画だと思う。
by denkihanabi
| 2009-11-24 18:43
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