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2009年 06月 29日
「T1」は傑作、「T2」は名作、「T3」は大凡作、「T4」は期待できないけどまあ見とくか。そんなつもりで見に行ったせいか、「T4」は意外と面白かった。どかーん、がしゃーんの連発で、まだるっこしいドラマ部分がほとんどないのが好感が持てる。監督は、「人間とは何かという哲学的なテーマを扱っている」と言っているようだが、ひとことで言って、戦争ごっこ映画だ。 こういうのをやらせると、当たり前だけどアメリカ映画は迫力がある。爆発やクラッシュの重量感がすごい。本編上映前に「20世紀少年」と「アマルフィ」という日本の大作の予告篇をやっていたが、日本映画はアクションシーンに関しては残念ながらかなり見劣りする。 この映画の原題は「ターミネーター4」ではなく、「ターミネーター・サルヴェイション」という。”Salvation”は「救済、救世主」という意味で、「マトリックス・レヴォリューション」みたいな大げさなタイトルだ。これは「4」ではなく、新シリーズの1作目らしい 「T4」の監督、MCGと書いてマック・Gは、ジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」のファンらしく、相当のリスペクトを込めてこの新シリーズに挑んだようだ。 劇中、マシーンの注意を引くためにマーカスがかける音楽はガンズの“You could be mine”だし、TVスポットで流れていたので書いてしまっていいと思うが、なんとシュワルツネッガーの顔のターミネーターも登場する。あれはCGなんだろうか?だとしたらすごいな。もちろん、“あのセリフ”もある。 映像のデザインや世界観的には、「ターミネーター」よりもむしろ、同じキャメロンの「エイリアン2」に似ている。 「T4」の抵抗軍は「エイリアン2」の海兵隊のようだ。MCGは「ターミネーター」の続篇の依頼を受けたとき「今度は戦争だ」と思ったに違いない。「今度は戦争だ」は「エイリアン2」の公開時のキャッチコピーだ。また、小さな少女が印象的な役で登場するのも「エイリアン2」的だ。 MCGは前世紀のSF映画「ターミネーター」を今風のアクション映画としてリメイクするというミッションを、かなり手際良くやってのけていると思う。 この監督、アクションシーンの演出、編集はかなり巧い。それをストーリーでつなぐ手際も無駄がない。 ![]() 「ターミネーター」の1作目は、低予算のB級映画だった。1985年の作品だから、CGもほとんど使われず、オープニングの未来の戦闘シーンのVFXはチープだ。にもかかわらず、20年以上も人々の記憶に残り続ける映画になった。なぜだろう。 まずなによりも、アーノルド・シュワルツネッガーのターミネーターの存在感が凄かった。 黒い革のジャケットに身を包んだスーパーマッチョな悪役は、メル・ギブソンの「マッドマックス」よりも、はるかに強そうで非人間的でインパクトがあった。しかも、ただ怖いだけでなく、カッコよく、どこか憎めない魅力もあった。 コミックでなく映画が生んだ悪のヒーローとしては、ダースベイダーやジェイソンやエイリアンに並ぶスーパースターだ。 「ターミネーター」が愛され続けるもうひとつの理由は、ジェームズ・キャメロンの独特のロマンチシズムじゃないかと思う。 ジェームズ・キャメロンはメカニカルな物に対するこだわりや、SFXを駆使したアクションシーンで有名だが、彼の映画の特徴はそれだけではない。 滅んでしまったものへの愛情と、未来へ進もうとする強い女、というモチーフがキャメロンの映画では繰り返されている。 「タイタニック」がその典型だ。大昔に沈んでしまった船の歴史をひもとくと、その中から悲劇を生き残り未来へ向かった強い女ローズの物語が立ちのぼる。 「ターミネーター」も同じ構造だ。あらかじめ滅びることが提示された人類の未来を、ひとりの強い女サラ・コナーが戦って切り開いていこうとする物語だ。 「エイリアン2」も、廃墟となった植民地惑星で、強い女リプリーが戦う映画だった。 このキャメロンのオブセッションのような、滅びと母性に対する独特のロマンチックな視点が、「ターミネーター」をただのハリウッド・アクション映画と、どこか違う作品にしていたのだと思う。 ![]() 何度も書くように、アクションシーンはよかったけれど。 シネコンで消費されるハリウッド映画工場製品としては、これでいいのかもしれないが、やっぱりそれだけの映画というのは寂しい。 by denkihanabi | 2009-06-29 22:49 | 映画ネタ
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