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2008年 12月 19日
人生はいいものだと、最初から決めてしまう。
そうすれば、たいていのことはいいことだということになる。 私は自分に甘く生きたい人なので、その手はありなんじゃないかと思っている。 昨年、小学生の子供の授業参観に行ったら、教室に「五年生になって今年の目標」っていうクラスのみんなが書いた紙が張り出されていた。 ひとりの女の子が書いていたこと。 「今年の目標 一、ピンチの時は笑う。 二、涙は貯金する。 三、何ごとにも迷わない。」 Coccoはコンサートで「生きろ」って言う。歌うように叫ぶ。「生きろ」なんて叫ぶ人は、「生きない」選択を深く知っている人だ。 是枝裕和が撮ったCoccoのドキュメンタリーだ。 ただCoccoを撮っているだけの映画。 明快に強烈なキャラクターを持った主人公が歌いもがく姿が中心にいる。余計なものはない。面白くないはずがない。 このところCoccoにはまっていて、昔のベスト盤をよく聴いている。 10年くらい前にリアルタイムで聴いたときは苦手だった。 Coccoは吟遊詩人だ。 言葉と歌を恋人のように抱擁し、歌と言葉に愛人のように翻弄される。 昔のCoccoの歌には、殺意があった。脳みそに噛みつくような歌だった。私はその歌を最近よく聴いているわけだが。 今日の映画でCoccoが歌っていた歌は、それとは違う歌だった。同じ人の歌だが、言霊が違っていた。不安定さは相変わらずだが、足の踏み位置が「やさしさ」の方に移っていた。 人間は変化する。変化しないことの美しさを礼賛する人は、ただ変化を怖れているだけだ。 女の人は男よりも、はっきり変化するチャンスが何回かある。子どもを産んだりしたときだ。と、私は思っている。この映画の監督の是枝裕和は私と同い年の男だ。たぶん、私と同じようなことを感じている。それで、そんな質問をCoccoに投げかける。子供ができて変わったの、とか。無器用な言葉で。カメラの外から聞こえる声は是枝自身の声だと思う。 ふるさとの沖縄の田舎道のはしっこで、しばらく考えた後で、Coccoは「もののけ姫」について話しはじめる。すごく面白い。すごいシーンだ。何も企んでいないのに、練りに練ったシナリオみたいな言葉が語られる。見つめ続けると、奇跡をすくい撮ることができる。是枝裕和の映画にはそういう瞬間がたくさんある。 Coccoは自分に甘く生きることができない。彼女は出会い、感じ、闘い、祈り、受け入れる。 涙を貯金するタイプでもない。彼女は泣いて、涙を歌に昇華する。 映画を見た帰りにCoccoの「きらきら」という去年出たアルバムを買った。 素敵なアルバムだった。不安定なたましいが両足を島の大地に着いてうたう、やさしく生きるための歌だ。
by denkihanabi
| 2008-12-19 03:00
| 映画ネタ
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